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伊租甫の忍者blog2号

脱工業時代の日本は2流中進国として雌伏するべきだ

加藤諦三著「日本型うつ病社会の構造」
PHP、03年6月。
自然破壊とは、大抵の場合は環境破壊のことだけど、
心の病気の問題も、また一種の自然破壊である。
この本で著者は、日本人の心の問題の深刻さを論じ、
大胆な対策を提示する。著者は、日本の政治家や
財界人が心理学に無知なことに呆れつつ、
心理学者の領分を越えた提言をする。
現在の日本の政治家は、心理学を学ばず、
時代錯誤の道徳を振回し、問題を理解することが出来ず。
道徳よりも心理学を学ぶべきである。
著者は、現在の日本人の心理状況はひどいものだと指摘する。
政治家は心理上の問題を殆ど無視して、
産業経済の問題に関心を集中させるけれど、
それは著者からすれば本末転倒である。
「日本型うつ病社会の構造」その二。
著者は、規範意識や義務感で仕事をするよりも、
やりたい仕事をすることを望ましいとするけれど、
戦後の日本では、仕事が武士道と結びつけられたり、
修行にされたりした。
欲求や慾望は抑制されるべき、とする旧来の道徳が、
日本では戦後も通用した。
著者は、日本人は変化への対応力が乏しいうつ病気質だ
と指摘する。
現在の資本家や経営者らは労働者の心理の問題を無視して、
労働者をrobotか、機械の部品と同様のものと見做す。
うつ病気質の日本人は変化を恐れ、変化への対応力が乏しい。
しかし最近の政界、財界の権力者らは、
構造改革を呼号し、労働者らに変化を強要し、
日本人の心理状況をひどくする。
その様な状況を著者は批判し、日本が世界の潮流
から取り残され、遅れても、国民のうつ病がひどく
なるのを抑制することを優先させよ、と主張する。
「日本型うつ病社会の構造」その三。
日本は工業製品(hard)の生産では成功した。
しかし情報(soft)の生産には不向きだと著者は指摘する。
日本は不向きな情報社会の時代は中進国に後退して雌伏し、
次の時代が来るのを待てば良い、と著者は主張する。
日本人はventureや企業には向かずと著者は指摘。
少子化の根本の原因は心の病と著者は見る様である。
少子化と児童虐待が同時進行する現在の状況は深刻。
著者は「子育ての社会化」を「常軌を逸したこと」と批判する。
その四。
現代の進歩派の論客は、家族の崩壊を、家族形態の
多様化などの表現でごまかし、子育ての社会化を主張
するけれど、Marx主義に反対する立場の著者は、
家族の復興や再建を目指すべき、の意見の様である。
上昇志向や経済成長万能思想を止めて、
日本人の心の病を治療すれば、
結婚や子育てへの志向が回復すると著者は主張する。
日本の高度成長は、人びとの心理状況の悪化を
代償として達成されたものだと著者は指摘する。
そしてBubble崩壊後の不況で日本人の心理状況は
さらに悪化した。戦後の日本の経済成長は幸運に恵まれた、
実力以上のものだと著者は見る。
それを維持することを目指すのは無理である。
無理が心の病気を生む。戦後の日本は分不相応の
出世をしたが、分相応なところまで地位を下げて、
心の治療をするべきである。
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