古賀茂明著「決別!日本の病根」田原総一朗編集、
11年1月、アスコム。
古賀氏の官僚批判は、同意できる部分もあるけど、
古賀氏は外資積極導入論者らしい。その点は疑問。
日本の企業には経営能力が乏しい、官僚は論外、だから
経営能力のある外資の知恵や力を借りろ、とのことだけど、
企業植民地にされることの害への認識が甘いのでは。
国際資本主義の矛盾、弊害への認識が甘いのでは。
1990年のBubble崩壊後、世の中の情勢が大きく変化し
たのに、官僚はそれに対応する能力が無い。
経産省の部署構成は、製造業中心時代のまま。業務内容
も、既存の業界を保護することが中心。
原子力発電に関して、日本の場合は、費用や技術の問題
よりも、人や組織の問題の方が大きい、が古賀氏の見立て。
日本人や日本型組織では原発の様な、危険度が大きいもの
を運用するのは困難。即時廃止はほぼ不可能にしても、
出来るだけ速やかに脱原発するべき。
田原氏は、今の反原発運動は、1960年のは反安保運動に
似る、中身を知らずに反対する、として、原発容認風の立場。
▲ 古賀茂明著「利権の復活」php新書、13年11月。
民主党政権挫折を受けた状況を論ず。
角栄系、経世会系党人派政治勢力が衰退した現在、
国内政局では、与党政治屋らは、官僚から国民だま
しのRhetoric言語術を学習し行使する。
古賀氏は安倍政権を、小泉構造改革と同様、言葉だ
けの偽装改革派とする。
古賀氏の安倍政権批判がやや鈍る面があるのは、氏
がTPP賛成派だから。
氏は、安倍氏の公約破りでのTPP参加を不問にし、
農水省農協等のTPP反対派の方を批判。
多国籍企業権利を過剰に認めると恐れられるISDS条項
も容認。
古賀氏は農業企業化や医療企業化に期待する様子。
官僚の欠陥を認識するにしても、資本主義企業の欠陥
矛盾への認識は甘い印象。
憲法改定では、国民有権者の過半数を基準にするべき
なのに、自眠党は、自らに有利な様に、有効投票の過
半数を採用、最低投票率規定も拒否。
中共の覇権主義に対して、単純な軍備増強や憲法改定
で対抗する右翼戦略を批判。
それは中共に日本批判の口実を提供するだけ。それよ
りも、国際世論が中共班権主義を批判する様に仕向け
ねばならず。
著者は本書の段階で、橋下前市長の政治家としての
能力の限界を見、橋下氏を見切り、その挫折を分析。
今の日本で古賀流政策、小さな政府で護憲脱原発、
を採用する勢力が無いことを嘆く。
(管見では、仁徳天皇伝説や上杉鷹山の小さな政府思想
が、ばら撒き財政よりも重要)
締めくくりは、東電をやはり破綻処理せよ、論。