Mearsheimer著、大国政治の悲劇、続き。冷戦期のUSAはしばしば、Soviet包囲に役立つのであれば、民主主義で選出された外国の指導者を追放して権威主義体制に変革した。
F.D.Roosevelt元大統領は、Hitlerを倒すためなら悪魔とも手を組むとした。
Stalinも、ideologyと力の論理が衝突した際には、後者を選択した。大国は、重大な危機に直面した際、同盟相手を選ぶのにideologyに拘泥せず。
Adam Smithが「国富論」で述べた様に、大国は力と富の二択を迫られたら力を選ぶ。
第二次大戦後に欧州に出現した冷戦体制は、計画されたものにあらず。超大国間の競争の結果としてもたらされた。
冷戦後、USAはNATOを代替する新安全保障組織を欧州に導入せよ、との魯国の提案を拒否した。
第一次大戦後のVersailles条約は欧州の安定促進効果を殆ど発揮せず。第二次大戦後、Germanyへの見方でKennanとAchesonが分れた。
1950年代にEisenhower元大統領は、西欧防衛から手を引き、西Germanyに核抑止力を持たせることを摸索した。その策は欧州を不安定化させた。
英国の戦略家Jurian Corbettが論じた、人は海に住まず陸に住む、だから戦争で最重要なのは陸軍だ、と。著者はこれに同意。空軍海軍は補助の役割。
日本は1945年8月9日までは何とか有条件降伏に持込むことを摸索したけど、原爆2発とSoviet参戦で降参。
海上封鎖、経済封鎖は陸軍戦略に比べて効果が小さい。太平洋戦争前の、USAの日本に対する封鎖は例外として効果を発揮したけど、戦争を決したのはやはり陸軍力。
USAによる経済封鎖や市街地爆撃を受けても、日本国民は自国政府に降伏せよと求めず。
斬首作戦は幻想まみれの戦術だ。敵国に介入して政変を起こし、傀儡政権を立てるのは極めて困難だ。
第2次大戦、対Nazi戦で英米はSoviet軍に比べて全然小さな役割しか果さず。経済封鎖や戦略爆撃の役割は陸軍に比べて小さい。
国家は、勢力均衡を、自国に有利な方向に動かす機会を探し求める。John Herzは、国家は他国を犠牲にしてでも、自国の安全を追求することを、1950年の論文で示した。
国家は他国よりも大なる力を追求する。絶対力にあらず。大国は、不正確な情報を基礎にして重要な決定をなさねばならず、しばしば誤る。
小国は自国の力を過大に見せかけ、侵略者は平和の目標をわざと掲げ、自国の力を弱く見せる。Hitlerが、この詐術に恐らく最も良く成功した。
大国は、絶えず、重要な決定を不十分な情報でくださねばならぬ状況に追込まれる。しばしば判断を誤り、深刻な被害を被る。
防御派現実主義者は、侵攻が成功することは殆ど無いと、大国は認識すると示唆する。それは状況の制約を過大評価。
1815年から1980年までの戦争を分析するに、39回侵攻が成功。Bismarckは、1864年、66年、70年、3回勝利した。
Naziも、1941年、45年に敗れる前は、1939年、40年に勝利。19世紀の英国を覇権国と呼ぶのは厳密には誤りだ。
Austria、France、Prussia、魯国、と4つの有力国が欧州に同時に存在したから。
USAは西半球に過去1世紀、地域覇権を達成した。しかし地球覇権は不可能だ。USAは他国の地域覇権達成を阻止した。
大日本帝国、Wilmhelm帝とNazi Germany、そしてSovietを撃破。他地域に2つ以上の有力国が存在する状況を好む。
潜在覇権国が無ければ、多極化でも危険度が少し下がる。でも無極体制よりも危険度大。
大国は、他国の意図が不明なので、他国の能力との均衡を図る。大国の最大目標は生き残りだ。
その他の安全保障外の目標、経済繁栄、人権等のideology、民族統一、は勢力均衡の論理の範囲内で進められる。現実主義は人権を最重要とせず。