加藤諦三著「成功と失敗を分ける心理学」PHP文庫、91年11月。
近代日本や近代日本人に関する心理分析として読むのが良いと感じた。
日本人の心理上の問題点を指摘し、成熟への道をおぼろげに示唆。
日本人によくある心理上の問題、鬱、執着性格、詐欺被害の発生原因
として、著者は、その人の親に心理上の問題があると指摘。
心理上の葛藤があり、子に幼児期に必要な欲求充足を許さず、
無理に成人させた。
自己流に補足すると、近代明治以降日本は、社会を大改革、
従来の農村社会流の、お子様を大事にするあり方から、
西洋流の教育思想、制度に移行した。
西洋に追付くための詰め込み教育の過程で、多くの日本人に
心理上の問題が生じたと見られる。
▼近代日本人は和魂洋才論で劣等感を抑制した。
日本は物質文明で西洋に劣るにしても、精神面で劣ることは無い、
とした。けれども、日本古来の農村共同体流没個性主義は、完全
主義の病理に傾きやすい。
どんなことでも人並みに出来る、欠点無き人材になることを目指す。
それは劣等感と表裏一体の態度。
その様な人材は近代工業社会で肯定されたけれど、近代後の成熟
社会、高度分業社会では価値が低い。
成熟社会では、欠点無き八方美人を目指す生き方をやめて、世間
の価値観に過度に合せることをやめ、自分の欠点、個性込みで、
自分を受入れることが重要。
欠点を埋めるために、別の面で断然の売りになる技能を持つ。
著者は、甘やかされて成長した人はだまされ易いと指摘。
日本の甘たれ世襲政治屋たちは外交に弱く、反日China、Koreaやその
他の国ぐににころころだまされる。
戦前でも、明治の戦乱を経験した元勲たちの後の世代は甘たれで、
Nazi Germanyの様なhattari勢力にだまされ、悲惨な敗戦をもたらした。
▼ 加藤諦三著「正義」と「憎しみ」の構造」
回教原理主義勢力による9・11攻撃事件の後、貧困や格差が
諸悪の根源,Terror暴力の原因だとする状況に、それは浅薄
だ、心理学へに無知だ、として一石を投ずるために書かれた本。
Terrorの根源にあるのは、幼児期に愛情に満たされずに生育
した故の憎しみ。母なるものへの代償を求める心理。
それが暴力に転化した。母を求める心理、母への固着は、
仏教で煩悩とされるものに対応する。
無条件の愛を提供してくれる、幻想化された母を求め、それ
を何かに投影する。
その様な非現実のものを断念し、確実に自己実現を目指す
べきだけど、その道から外れる人がものすごく多い。
母なるものを自民族や自国や、自らが信ずる宗教に投影し、
それを絶対化し、異民族や他国や他宗教異教徒を排撃する。
「お母さん」と叫びながら攻撃を実行する。Terrorist流の
心理は、未熟な二元論。多くの人は年を取り成熟するにつれ
て、人は二元論よりも遥かに複雑なことを知るけど、
Terroristは成熟を拒否し、二元論にしがみつき、それを
土台にした行動に暴走。
回教原理主義者はNaziと心理面で類似性がある。Terrorist
や軍国主義者は愛国心を鼓吹するけど、愛国心なるものは、
個別具体の人を愛するよりも安易である。
愛国心を鼓吹しても、出生率向上につながる保証はない。
著者は9・11事件主導者とされたBin Ladenは規範意識が強い
としたけど、愛国心や規範意識が必要だと喚きつつ、教育
基本法を改竄し、その後もいろいろな法律や制度を改竄し
破壊しまくるApe,Sinzo君を連想させられた。
幼児期に愛が満たされず、そのことを無意識裏の憎しみに
しながら、正義とか規範とか愛国心で偽装するTerroristに
対処するには、左翼流に、偏狭な愛国心を脱して、大きな
人類愛に至れ、の空理空論に乗るよりも、心理学を勉強
する方が有効と見られる。