猪瀬直樹、田原総一朗著「戦争、天皇、国家」角川新書。
田原氏、昭和帝は、太平洋戦争に拒否権を発動することは出来ず、
明治帝の御製を詠むのが精一杯。
猪瀬氏、明治時代は元老の人治で制度の欠陥に対処したけど、昭和
期は元老不在で欠陥がもろに出た。
吉田茂は1945年前半、終戦交渉のための近衛上奏文作成に協力して逮捕
された。日本はこのままでは共産主義革命になる、(その前に終戦せねば
ならず)陸軍が満州でやることは、共産主義統制経済だ。
革命で天皇制が廃止される。農村出身陸軍人なら(天皇に敬意を持たず)
やりかねず。
(管見では、日本は1937年、対中戦争勃発に合せて社会主義革命を果した。
天皇制は存続するけど形骸化)
海軍はMidway戦惨敗の内容を陸軍にも天皇にも知らせず。明治西南戦争
の前、熊本での神風連の乱に見られる非合理のpatriotismや無常観が
太平洋戦争の特攻隊思想に宿る。
田原氏、1946年天皇人間宣言の原文は英文(USA側から提示された?)
猪瀬氏、戦後新憲法案を一週間で作成したのは、天皇制廃止勢力Soviet
の介入を防ぐため。(右翼の手抜き批判は当らず)
5月3日憲法記念日は、東京裁判開廷日。
田原氏、日本共産党野坂参三は、吉田茂に対して、日本にも軍が必要と主張。
猪瀬氏、野坂の主張は他の共産主義国との共同作戦を想定したもの。
田原氏、芦田元総理が逮捕された昭電疑獄は、GHQの内部対立の反映。
Sanfrancisco講和条約直後の第一次安保条約は、徹底して不平等、
社会党はこれをめぐり左右分裂。
猪瀬氏、吉田茂は日本版CIAを構想したけど挫折。日本には戦後も統合
機能不在。これでは国家と呼べず。
田原氏、1953年、造船疑獄で吉田内閣崩壊。(鳩山一郎政権に交代)
岸信介は日米安保の不平等を緩和したけど、地位協定の大きな不平等が
残された。米軍は日本の好きな所に基地を設置することが出来る。沖縄
辺野古は米軍が決めたとの疑惑がある。
猪瀬、田原著「戦争、天皇、国家」続き。
猪瀬氏、1969年に、左翼運動は表層のみで駄目だと感じた。
田原氏、自分は海部、宮沢、橋本の各元総理をinterviewで追及して
退陣させた(自己宣伝にしても、表現過剰)けど、批判だけでは駄目だと感じた。
猪瀬氏、田原氏はTV局を辞めて、左下手投げから右上手投げ投手に転向した。
田原氏、安倍氏はUSAからの自立など求めず、USAから信頼され褒め
られることを目指す。自分も安倍氏と同様、岡崎久彦元大使の路線に近い。
(USAの国力が弱まれば、日本は自立を進めることになるけど、
当面はその見込みは乏しい。USAと中共の力関係が逆転するから日本は
中共属国に変更せよ、は危険思考と感ずる)
猪瀬氏、岡崎元大使と話して、日本はAnglo -Saxonを敵に回すな、多少
の屈辱は我慢せよ、の説を聞かされた。USAは占領終了後も日本を軍事
支配し続ける。
学校教育はこのことを無視するから、日本国民の多くはこのことを知らず。
田原氏、白井聡さんや内田樹さんや小熊英二さんらの左翼新Liberalは
嘗ての反米左翼と同様、対案が無い。
(批判するだけで国内権威者、知識人として遇された時代は終了しつつ
あると感ずる)
猪瀬氏、今も国際社会は弱肉強食、帝国主義の時代、Liberal平和主義は
現実離れ。
(弱肉強食をやむなしとして、状況に流されるのは愚、脱弱肉強食を
目指すべきだけど、左翼は言葉だけで、戦略不足と感ずる)
田原氏、戦前日本は帝国主義に達せず。帝国に必要な戦略を持たず。
日本は(軍事力よりも)高度な情報収集能力を持つべきだ。核武装反対、
軽武装で行け。昭和天皇は護憲、東京裁判肯定。
日本が国際交渉力発揮する国になることを望む。小選挙区制で自民党
内議論弱化。非主流派弱化。中選挙区制に戻すのが良い。
自衛隊法改定反対。核、化学兵器、空母不保持。
中共主導のAIIBに、Obama政権は参加意向、でも共和党主導の議会
が阻止した。猪瀬氏は、Liberalが嫌な、家長としての責任意識を持つ。
(日本は諜報を重視して、余計な戦闘を封じ込めた徳川のやり方を再評価
するのが良いと感ずる。戦前日本は徳川を見下し、諜報を軽視したと感ずる)