Kent Gilbert著「天皇という「世界の奇跡」を持つ
日本」徳間書店。
英国の王のは君臨すれども統治せず、の由来は、
血統断絶によりGermanyから連れてこられたGeorge一世。
英語が出来ず、統治不能。
戦後GHQ司令官MacArthurは、連合国の他の勢力の、
昭和天皇処刑論を封じ込めるために、改憲、新憲法
押し付けをした。
古代隋皇帝は、日本聖徳太子の、日出づるところの
文書に怒りながらも、高句麗と敵対関係にある中で、
日本をも敵に回すことを避けた。
日本天皇は、Rome(Catholic)教皇と、権威者である
点は共通するけど、腐敗がすくなく、優れる。
天皇は謎で、奇跡だ。
第一次大戦後に日本が人種差別撤廃を主張したことを、
白人列強勢力は、世界秩序への挑戦と受け止め、反日化した。
白人諸国が日本の意図を大袈裟に曲解した?
日本の情報発信の拙さも問題だ。
USA Grew元駐日大使(元国務次官)は、戦時中、
天皇を女王蜂に類比する論で天皇を擁護、処刑に反対した。
MacArthur三原則、戦後日本新憲法に関する、は天皇存続、
戦争、戦力放棄、華族廃止。
(日本戦後右翼は、三原則を一体として見ることをせず、
戦争、戦力否定ばかりに反撥、怨念を抱き続ける)
昭和天皇を「日本の最上の紳士」としたMacArthur
回顧録を引用、でも著者は、MacArthurの日本観には
誤解が多いとする。
皇室存続に賛成するにしても、GHQによる公職追放や
教育改革は悪政だとする。
MacArthurは、昭和天皇個人に対する感情よりも、
占領統治の実利の観点から天皇制存続を決めたと見られる。
MacArthurが、戦後日本人に対する精神革命、
宗教革命を試み、神道を否定したこと、また公職追放に
より共産主義者の言論支配を許したのは誤りだ。
続き。
GHQは、30項目の報道規制を課した。
日本の記紀での初期天皇たちの異常な長命が問題とされ、
初期天皇を架空の存在とする説もあるけど、その程度
の矛盾で神話研究を疎かにすることは無い。
聖書創世記でも、初代から十代までは異常な長命だけど、
聖書は徹底して研究される。日本も神話研究を盛んにせよ。
Mansfield元USA駐日大使は、戦後日本の経済発展
の秘密は、天皇にあり、と安倍晋太郎元外相に話した。
天皇陵調査に後ろ向きの宮内庁に、著者は苦言。
研究の重要性を説く。
賊軍朝敵を排除する靖国神社とArlington墓地を同様
の施設とするのは(日本右翼が好む説だけど)無理だ、
とする一方、A級戦犯合祀を理由に靖国批判する左翼にも、
著者は不同意。
軍人(英霊)顕彰は、日本を含めてどの国でもなすべき
ことだ。
明治政府は、羅馬Rome法を起源とする大陸法の一つ、
Germany法を手本にした帝国憲法を制定した。
不平等条約解消にはその方が有利と見られた。
でも明治五箇条の御誓文の思想は、非大陸英国流に近い。
建前、憲法は大陸法、現実は英米法、この矛盾を綱渡り
するやり方が一定期間機能したけど、元勲元老死後、
昭和時代に入ると、条文至上主義に傾き、統帥権干犯
問題以降、収拾不能に。
戦後日本国憲法は英米法。片岡鉄哉説を援用、公職追放
は新憲法のため、新憲法反対者を追放、代りに共産主義者、
左翼を入れた。
憲法学者宮沢俊義の八月革命説、敗戦革命、戦後日本国
憲法制定は国民主権化革命だ、説は以前の立場からの変節。
公職追放を恐れで(GHQに媚びるため)のことと見られる。
GHQは渡部昇一が「敗戦利得者」と名付けた勢力を作り
出した。
Germany(ドイツ)は柔軟性が乏しい大陸法の国なので、
戦後憲法(基本法)を何十回も改定した。
(Germanyを例に挙げて壊憲を煽る右翼は浅薄?)
日本国憲法は英米法なので、柔軟に解釈して良い。
それなのに、日本の戦後左翼護憲派は九条を大陸法流に
解釈することに固執する。
自衛隊違憲論に固執、集団自衛権行使のための解釈変更にも反対。
それを著者は批判。
(学者では、篠田英朗教授が著者と同様の見解と見られる)
選挙制度改革、小選挙区制導入は、広義の解釈改憲の一例。
自衛隊導入も勿論解釈改憲、解釈改憲は当然のこと。
続き。
天皇は、戦後も事実上の元首だけど、自眠党の壊憲案
の様に、天皇を元首として条文に明記することには、
加瀬英明さんが反対。著者もそれに同意。
加瀬氏は、天皇は元首以上の、元首よりも重い存在だ
としたけど、現行の「象徴」を改める必要は無い。
92年天皇訪中等での、中共による天皇政治利用は問題。
2018年、Rome教皇、Vaticanは、中共が認めたいんち
き教会、司教にお墨付きを出し、教皇に忠誠する、共産
党政権から弾圧される地下教会を無視する大失態。
1950、60年頃からの南米での宗教(基督教)と共産主義
の結びつき、解放の神学は危険だ。
議院内閣制の日本で、総理が改憲の旗振りをするのは、
何の問題も無い。野党の批判は受け入れ難い。