古賀茂明著「国家の暴走」角川新書。14年9月。
著者は、安倍政権は、日本を途上国型国家に逆戻りさせると批判。
China流独裁とも共通する、国民愚民視の政治手法。
(管見では日本を途上国、2流国に没落させた本当の主役はUSA。
自民党はそれをごまかしただけ)
一般国民は、政権の勝手な行動で不利や怒りを感じても、
すぐに忘れる、と高をくくり、新たな問題、話題
を提供して関心をそらし、嘘をひたすらくり返して
既成事実を押し通す。
(管見では、安倍氏は何か特定の政策を実現するよりも、
権力の座にあることが最大目標。国際支配勢力戦争屋ほどの
悪企みを自身では持つまい))
自眠党改憲(壊憲)案を手掛りに、今の政権、自眠党が
国民の権利制約を企むと指摘するのはそれなりに有効。
著者は、日米安保条約体制は、集団自衛権が無くても
対等だとする。
日本がUSAに対して、軍事行使による防衛義務を持た
ねば対等にならず、集団自衛権必要、は詭弁だ、と。
沖縄の米軍駐留基地は、極めて米側に有利なものだから、
日本の軍事防衛義務が無いことを十分に埋め合せる。
日本がUSAの戦争の下請けをやらされる、徴兵制が導入
される、とは過剰な危惧に見える。
自眠党政治を批判する人の多くは、政治家が、日米同盟、
日米対等を演出し、声明化するのは欺瞞、対米従属、属国
日本の姿をごまかし、隠蔽する、とするけど、著者はその論
法を採らず。
著者は、安倍流「日本を取戻す」とは、戦前列強の地位
を回復する、の意味と解釈。徴兵制で無理に数合せされ
た軍は弱い、の21世紀流合理性は、安倍氏には無いと見くびる。
(自分は、日本を利権の道具として、民主党政権から取り戻す、
の意味だと見る)
憲法に「自衛軍」を明記せよ、の安倍思想、自眠党方針は、
軍保持を義務にするもの、現行が、自衛隊は権利、
状況が許せば、保持せずともよい、の状況から大転換、と指摘。
朝鮮半島問題に関して、朝鮮戦争再開(第二次)して、
米軍が韓国支援姿勢を示しても、日本は加勢するな、中立を保て、
と提言。(これは賛成)安保条約改定し、在日米軍基地から
外国への軍事行動出撃を禁止せよ、とも。
著者は、安倍流公共事業を、民業圧迫だと批判。無理な
事業設定で経費上昇を招いた、需要予測も出鱈目、と。
東北大震災復興事業以外は抑制すべきだ、と。
▼著者は、安倍政権を、時代錯誤の列強主義、戦争推進、
とやや曲解気味に批判するけど、TPPに関しては、著者も賛成
派なので、安倍政権の変節を批判することは無い。
左翼はTPPや国民総番号制(My number)に反対するけ
れど、古賀氏は賛成。その点で左翼と一線を劃す。
反左翼反戦の立場。TPP賛成、農業国際化、新規参入促進。
農業や中小事業、医者の事業継承(世襲)優遇は不公平だ、
と批判。公務員、官僚が、採用試験での成績で、生涯優遇
されるのも不当だ。
でも本書は、政治屋の世襲問題を素通り。
「リストラ」解雇、賃金低下を「雇用流動化」と曖昧な
表現にして容認した政治や、それに甘え、新規産業開発
を怠り、労働者虐めくり返す経営者らを批判。
国民番号を年金に結び付けるなどして、非正規労働者の
待遇を引上げよと提言。
労働思想に関して、基督教流労働苦役思想が国際標準
だと見做し、怠惰のすすめを説く。
労働は苦役だからなるべく短時間にして、時間当りの
生産を増やし、生産効率、生産性を上げるべきだ、と。