田原総一朗著「円を操った男たち」講談社文庫、91年3月。
横井英樹、小佐野賢治らの叩き上げ成金が、官僚や
財界主流派に潰される様を描く。
著者は、横井英樹ら、学歴無しの成り上り経営者らが、
国内主流権力者に潰される様を、国際社会に投影。
新興成金国日本が国際社会の既得権益者、USAらに
潰される様を見る。でも打開策は無い。傍観するだけ。
この本以降、構造改革で、日本への属国支配再強化がほぼ完成。
構造改革の過程では、横井、小佐野両人に比べて学歴
では有利な新興成金(堀江元社長、村上元代表)が登場、
株主主権を再度主張。でもやはり敗北。
しかし日本は、宗主国米穀の株主主権主義には屈した。
日本人が主張したら駄目なのに、宗主国がやれば、仕方
が無いと受入れ。
この本の段階では、日本権力者らは、日本人は外来洋服を
着こなす能力がある、外圧を脅威と見る必要無し、と余裕
を示したけれど、今は完全に日本の負け。日本社会の底が抜けた。
◎田原総一朗著「総理を操った男たち」講談社文庫、89年6月。
戦後日本財界と、政界との関係を、著者の取材力を生かした
談話を織込みながら、叙述。世襲社会の嫌らしさを感じさせた。
戦後日本の政界には、事実上の宗主国、USAが
大きな影響を及ぼしたけど、国内財界も結構政治に影響した。
日本財界は、Sovietへの接近を試みた鳩山一郎政権を潰した。
その急先鋒が、産経初代総帥、鹿内信隆。
財界の本心は、鳩山政権の闇将軍、河野一郎潰し。
河野一郎は、財界非主流派と仲良くして、資金集めのやり方が強引。
下品で卑しい。だから財界主流派としては排除の対象。
その河野一郎に操られた鳩山一郎政権を批判した産経は、近年、
鳩山一郎の孫、鳩山由紀夫の民主党政権を激しく非難攻撃した。
鳩山由紀夫政権の闇将軍、小沢一郎代議士の資金問題を非難した。
また河野一郎の息子、河野洋平元官房長官の、
所謂慰安婦問題に関する談話を批判する。
歴史がくり返す。河野元長官の息子、太郎代議士は、
財界主流派の意向に反して原子力発電を批判。
▼田中角栄は、河野一郎にも増して、極端な党人派、非官僚系政治家。
財界主流派からすれば本来論外排除されるべき存在。
しかしUSA、Nixon政権の新戦略、金本位制廃止、
中共北京政府への接近、繊維貿易摩擦の三連発に、
福田赳夫ら、日本の官僚系政治家が右往左往、対応能力不足を露呈。
ここで能力を示した田中角栄が政権を引寄せた。
しかし石油危機や「狂乱物価」には流石の角栄も
お手上げで、財界はすぐに梯子を外し、角栄おろし
▼中曽根「大勲位」もやはり非主流派。中曽根政権が成立し、
しかも長期化したのは、財界の大物、土光会長を取込み、
行革臨調を組織したことが大きい。
当時の財界には、まだ自己責任精神が残存した。
1970年代の石油危機にも、その精神で対処した。その立場から、
赤字国債垂れ流しの霞が関官僚を叱りつけ、封じ込めることを試みた。
これが当時の財界の権力強化作戦。しかしそれをぶち
壊したのがRecruit事件やBubble景気崩壊。
Bubble崩壊後の構造改革で、日本財界は、土光時代の増税なき
財政再建方針を忘れ、法人税下げ、消費税引上げによる庶民
へのつけ回し、の不公平税制改革で財務省と結託、ひたすら
なる責任転嫁の姿勢に堕落。