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伊租甫の忍者blog2号

改革派官僚は中途半端だ

古賀茂明著「日本中枢の崩壊」講談社、11年5月。
「さらば経産省」として企画された本。
3.11大震災を受けて加筆、改題。著者は改革派官僚と
して注目され、野党から国会に参考人として呼ばれたけど、
当時の民主党仙谷官房長官は、経歴に傷がつくぞ、と著者を
恫喝。
それでも著者は、仙谷氏に対して恨みを述べず。仙谷氏
は財務省の政策を呑みながら、党内で小沢元代表との
権力闘争に勝ち、それから改革に着手する作戦、と著者は分析。
しかし仙谷氏は尖閣問題で下手を打ち、殆ど
何も改革せずに失脚。

著者は霞が関官僚の補助金行政を批判。補助金は利権の
温床として問題だけど、著者は経済産業政策の見地から、
補助金が市場経済を歪め、市場で淘汰されるべき駄目
企業を延命させる問題を指摘。
著者は民主党政権の農業政策、戸別補償に反対、TPP賛成。
病院株式会社化や混合診療賛成。
でも著者はglobal資本主義の矛盾への認識が甘い?

著者は、役人時代の最大の仕事は、独禁法第九条を
改訂して、持ち株会社を再解禁したこと、とする。
著者は、これを国際標準として当然のこととしたけれど。
著者は、この件に関して、当時の責任者、橋本龍太郎
通産大臣を、政治主導の見本と評価。
高校の先輩たる橋本元総理を過大評価。


著者は、農地を集約して大規模経営化し、生産性を
上げる、の立場。そのための税制改定や農地法改定を提言。
著者は、役所の規制を緩和すれば、市場経済の
淘汰の仕組みがうまく働くと見る様だけど、それは浅薄。

資本家らが、いろいろ悪辣な手段や方法で、市場経済
を歪め、過剰利潤を獲得することを軽視。
著者は、冗談で、緩い仕事がしたい、との意図で、
海外転勤を所望したところ、海外ではあるものの、
きついOECD勤務を命ぜられた。
そこで、電力会社改革の知識、発送電分離に関して知る。

著者は「クレカ」偽造を罰するための法律改定のために
活躍した。TV番組を利用して世論を喚起、それに対して
警視庁が利権拡大の思惑で反応。
腰が重い法務省は、警視庁の動きを見て、遅まきながら動く。
企業延命よりも、駄目企業が潰れた時に、失業者を救済する
ことに行政の重点を移すべきだ、と述べる。

「日本中枢の崩壊」続き。
China新幹線は「インフラ」輸出の失敗例。
著者は、新幹線や原子力発電の様な大型「インフラ」を、
政府、官僚一体で輸出する事業に疑問を呈示。
「インフラ」輸出を担当する役人は、自分の仕事が増えれば、
それで満足。事業の採算性には無関心、そこが問題だ。
著者は日本の「インフラ」輸出の失敗例としてIJPC
(Iranでの石油化学工場建設、Iran,Iraq戦争で挫折)や
China新幹線(技術流出)を挙げ、原発輸出も失敗する恐れ
が大きいと心配。


▼著者は国を変革するのは総理のleadershipだと期待しつつ、
菅直人総理(当時)の最少不幸社会論を批判。
総理は最大幸福社会を説け、とするけれど、これは恐らく倒錯。
成熟化社会で政治家の指導力に期待するのは不適当。
実業家(非政治家)がそれぞれの立場で、特定の人に向けて、
最大幸福論を説くのが良い。

現在の日本の体制下で、大幅な法改定をせずに、政治主導
を実現するための著者の提案は三点。
総理直轄brainを集め、うまくteamを作ること、
内閣人事局を設置して人事権を握る(実現したけど弊害が大きい)こと、
内閣予算局を設置すること。
日本の政治家の意識は、近代政治の理念、原則からかなり
外れたところにある。
政治家、国会議員の仕事は立法、法律制定であるべきところ、
日本政治家どもは、政敵との闘争に勝ち、財務省を筆頭とする
役所とうまく関係し、予算や事業を地元に誘導することを主要
業務にする。
政治家の精神を根柢から改めることが必要で、小手先の制度
改革では無意味。
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